研究者らによれば、(健康な人ではなく)糖尿病の患者だけを対象として、身体活動とその後の(全死因)死亡率とを直接むすびつけて調べた研究は、これまで行われていなかったようです。
糖尿病の患者に対して、あたりまえのように運動が勧められていることを考えると、これは意外です。
この点に着目して、実証的なデータを示したことが、一クリニックの患者を対象とする比較的小規模なこの研究が評価された一因でしょう。
糖尿病の患者5215人を14年間追跡調査したところ、運動を多くしている人の方が心臓病や脳卒中のリスクが低く、歩く程度の軽い運動でも効果がありました。
H大学のグループによるこの研究は、「内科学アナルズ」2001年1月16日号に報告されました。
この研究は、1976年に始められた米国の看護婦21万人の追跡調査の参加者のうち、調査の間に糖尿病にかかった5215人を対象に行われた。
余暇の運動のようすを、T1万人全員に郵送した調査票で調べた。
糖尿病の治療や血糖値のようすは、糖尿病の人に追加の調査票を送ってくわしく調べた。
1980~1994年の14年間の追跡調査を行ったところ、323人が循環器疾患にかかっていた(冠動脈疾患が225人、脳卒中が98人)。
その結果、おなじ糖尿病患者のなかでも、激しいスポーツ、ジョギング、早歩き、自転車乗りなどの、激しい運動や中程度の運動をする時間が長い人ほど、循環器病のリスクが低かった。
週に1時間未満の人とくらべて、週に7時間以上の人では、リスクが48%低かった。
つぎに、激しい運動をしない人に限って調べると、歩く時間の長い人ほどリスクが低かった。
さらに、歩く時間が同じ場合でも、早足で歩く人は、ゆっくり歩く人よりも、53%リスクが低いという結果だった。
こうした結果から研究グループは、糖尿病の女性では、定期的に歩くことを含めた運動量の増加が、循環器疾患のリスクの低下につながるだろうと結論づけている。
研究グループによると、もともと健康な人のなかでは、運動をしている人の方が、将来糖尿病になりにくいことは、すでに分かっていた。
また、すでに糖尿病になってしまった患者でも、運動によって、血糖値の低下、インスリン感受性の改善、血清脂質の改善、体重減少などの効果があることも分かっていた。
ところが、すでに糖尿病になってしまった患者が、運動によって、心臓病や脳卒中そのもののリスクが下がるかどうかを調べた研究は、これまでに2つしかないという。
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